2017年6月に行われた南硫黄島(みなみいおうとう)調査を振り返ってみる事にしました。
当時の写真を見返しながら、ブログを少しづつアップして行こうと思います!
・調査前の事前訓練
2017年5月27日 南硫黄島調査前の上陸訓練
・本編の南硫黄島調査ブログのスタートはこちら(2020年4月18日まだ最後までアップできていません)
2017年6月9日 南硫黄島調査 竹芝から父島へ出発
振り返るにあたって、南硫黄島調査や島にまつわる情報を自分なりにピックアップしてみました。
◆はじめに
私は1年を通して山のガイドをしています。
今回は山岳班、山岳医療班を担当させてもらいました。
南硫黄島は東京都の非常に貴重な島なのです。
なぜなら過去に他の陸地と一度も陸続きになった事の無い「海洋島」であり、独自の進化を遂げた固有の生物と独特の生態系があるからです。その調査が行われました。
調査は生物相(植物・昆虫・鳥類・陸産貝類・海洋生物・菌類等)の調査で、研究者・海洋班・山岳隊・医療隊・撮影隊・行政等の総勢30名以上が係わる大所帯。
山岳班の役割は皆さんが安全を確保しつつできるだけ調査に集中してもらえる環境作りでした。
各分野のプロフェッショナルの方々と20日間もの間、寝食を共にし、汗と泥まみれになって同じ目標に向け一丸となれた事は何事にも代えられない経験をする事ができました!
◆調査に参加するきっかけ
山岳班隊長で友人の天野和明ガイドから声をかけてもらいました。
1ヶ月間、この仕事の為に家を空けなければならなかったが、
幸いこの時期にツアーを予定していたお客さまにも日程調整の協力をして頂き、
さらに家族の理解も得ることができて参加させてもらう事になりました。
声をかけてもらった天野ガイドに大感謝です。
◆調査の要旨
・2017年6月東京都、首都大学東京(現:東京都立大学)、日本放送協会(NHK)が連携し、南硫黄島において自然環境調査を実施。
・南硫黄島は自然環境の厳しさから人が定住した記録が無く、原生の自然が保たれている。
・自然環境保全法で立ち入りが禁止され、文化財保護法で島自体が天然記念物として手厚く守られている。
・山頂部を含む上陸調査が行われたのは10年ぶり、史上4回目。
・調査に当たっては、南硫黄島へ持ち込むもの、南硫黄島から持ち出すもの全てに対して検疫処理を行った。
・厳しく危険な自然環境ゆえ、安全確保は最大の課題、前回及び火山(硫黄)列島調査経験者が多く参加し大きなカとなった。
・プロクライマー、プロダイバー、小笠原在住のフィールドワーカー、船舶関係者、父島・東京 のサポート隊がスクラムを組み、知恵と力を出し合った。
・小笠原村の全面的な協力により船舶待機の医師をトップとする医療班を設営。
◆島の概要
直径2km、標高916m、平均斜度45度、麓は崩落地に覆われている。
・東京から1300km、父島から330km南、北緯24度13.7分、東経141度27.7分に位置する。
・標高の最高地点は916mで、伊豆・小笠原諸島の中で最高峰。
・所要時間は東京の竹芝から父島までフェリーで24時間、海洋調査船で父島から17時間の航海で南硫黄島に辿り着く。
◆人の定住
・その隔絶された位置や厳しい自然環境故に、南硫黄島には有史以来、人が定住したことが無いとされている。
・ただし1886年には帆船が遭難して南硫黄島に漂着し、3人が3年半もの間、島に残留して生活していたという記録がある(環境庁,1983)。
・第二次世界大戦終戦直後に島の調査で米軍が上陸した際に1名の日本人が発見されたという報告もある。
◆過去の調査
・山頂も含めた上陸調査は、1936年、1982年、2007年総合調査で、今回は4回目となる。
・1982年以降は沿岸部を除き上陸調査は全く行われていない。
ここまでの情報は「南硫黄島自然環境調査の概略」より
◆2017年調査調査の内容と成果
・絶滅したと考えられていた幻のラン科植物「シマクモキリソウ」の再発見
・海洋島にはいないとされていたフトミミズ、南硫黄島固有の新種と考えられる甲虫(1mm)も土壌から発見
・ミナミイオウスジヒメカタゾウムシが36年ぶりに発見された。
等。下記のサイトに写真付きでわかりやすくまとまっています。
◆詳細な報告書
各分野の詳細な調査報告等を見ることができます。
東京都立大学小笠原研究委員会「小笠原研究年報/特集 南硫黄2017」
◆シンポジウム
2019年にシンポジウムが開催されました。
当日は連休の中日にも関わらず、500名を超えるご来場がありました。
◆朱宮隊員(気象/植物)2017年調査のブログ
全体的な現地での流れを紹介されています。
【朱宮の南硫黄島日記 10】神秘の島・南硫黄島調査 全日程まとめ
◆南硫黄島を感じるには
硫黄三島クルーズ「南硫黄島」というツアーが年1回あるそうですよ。
◆マホウトコロがあるらしい
2016年1月Pottermoreでハリーポッターの作者、J.K.ローリングが魔法学校「マホウトコロ」がある場所として、南硫黄島の名を挙げた。マホウトコロの校舎は山頂にあり、羊脂白玉(ようしはくぎょく)でできていて、生徒は巨大なミズナギドリに乗って通学しているとの事。
◆NHKスペシャル 秘島探検 東京ロストワールド
今回の調査をNHKオンデマンドで見ることができます!見逃した方は是非ご覧ください。
https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2018091295SA000/
色々と挙げさせてもらって少し長くなりました。最後まで読んで頂きありがとうございました!
良かったら南硫黄島調査ブログも読んで頂ければと思います。(2020年4月18日まだ最後までアップできていません)